難聴といっても、耳のどの部位に原因があるかで、難聴の種類や程度が違ってきます。
耳の構造は、右図のように人間の耳は「外耳」「中耳」「内耳」の3つの部分からなりたっています。 音は外耳道を通じて鼓膜に達し、ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨によって内耳に 伝えられます。 音は内耳に入ると有毛細胞により電気信号に変換され脳に送られます。 このように、耳の各器官がそれぞれの役割を果たすことで音を聞き取ることができます。
難聴の種類は、外耳、中耳に原因がある「伝音性難聴」、 内耳やさらに中枢へ向う部分に原因がある「感音性難聴」、伝音性難聴と感音性難聴の両方の特徴を併せ持った「混合性難聴」とがあります。
外耳道に耳垢(みみあか)が充満している場合や、耳垢(みみあか)が柔らかく自宅での耳掃除で耳垢(みみあか)を奥に押し込んでしまう場合に、難聴を来すことがあります。このような場合、耳鼻科での耳垢除去をお勧めします。
▲聴力と年齢
難聴の程度は一般に4つに分けられます。
といいます。
右の図は聴覚と年齢のグラフで、縦軸が音の大きさ、横軸が周波数で左側が低音、右側が高音を示します。
年齢とともに高音部が聞き取りにくくなります。
右の図で赤色の点線部分、バナナの様な形の部分がスピーチバナナといい、会話音声範囲を示します。
人の普通の会話音域を聴力図上に示すとバナナのよう な形になるのでそんなふうに呼ばれています。
一般に周波数が低く大きい音である母音は、周波数が高く小さい音である子音より聞こえやすく、特に子音の成分のうちタ行、サ行、ハ行、カ行は高音域にあり、これらが聞き取りづらくなったら難聴の可能性があります。
スピーチバナナの部分より外れると会話が困難になりますので、補聴器を用いてスピーチバナナの部分まで聴力を補うことでに言葉の理解力を上げるようにします。
また、難聴の進行に関して、「急速に出現した難聴」と「ゆっくり進行した難聴」があります。 「急速に出現した難聴」には中耳炎、突発性難聴などがあり、治療時期を逸すると 難聴が回復しない場合がありますので、 早めに耳鼻科を受診して下さい。
補聴器は患者さまのそれぞれの聞こえに合わせて調整する必要のある精密医療機器です。
新聞や折込チラシなどで「すぐによく聞こえる!」といった通信販売の広告を見かけます。 しかし、まず聴力検査により難聴の程度を判定した上で、補聴器の必要性を判断すべきです。 また難聴がある部分の音域を判断した上で、補聴器を調節してはじめて使用が可能になります。 さらに耳の形は患者さまそれぞれで異なり、耳の形にあったものを使用する必要があります。
補聴器は患者さまの聞こえ具合に合わせて調整が必要な機械です。 すでに補聴器をご使用している患者さまも、補聴器を使用しても聞こえに不自由がある場合は、 補聴器の調整のご相談等をお受けしておりますのでお気軽にご来院下さい。
4つの事柄に注意して、ご使用することをお勧めいたしております。
補聴器相談の曜日が2021年4月から変更になります。
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