病気と症状
Disease Symptom
病気と症状
Disease Symptom
上咽頭は鼻の奥とのどがつながる場所で、のどちんこ(口蓋垂)の裏側に位置します。
急性の上咽頭炎は、風邪の一部に該当し、のどの痛みとして感じることが多いです。
慢性の上咽頭炎は様々な症状、疾患の原因になります。
上咽頭およびその周辺部に不調を引き起こします。
後鼻漏(鼻水がのど落ちる)、痰、咳、咽喉頭違和感、頭痛、首・肩のこり、耳鳴、耳閉感、舌痛など。
上咽頭付近に自律神経が複雑に走行し、炎症が自律神経の乱れを及ぼす。
めまい、起立性調節障害(立ちくらみ)、全身倦怠感、慢性疲労症候群、睡眠障害など。
上咽頭から全身へ炎症物質が広がり、様々な疾患の原因になります。
IgA腎症、掌蹠膿疱症、関節炎など。
内視鏡による所見と塩化亜鉛を塗布した際の出血の程度で行います。
当院では通常光および特殊な光源で上咽頭を観察し、炎症の程度を判定。
塩化亜鉛を含ませた細い綿棒を鼻から上咽頭に塗布し、炎症があれば、痛みがあり、綿棒に血が付着します。
口から塩化亜鉛溶液を浸した咽頭捲綿子で擦過すること
(EAT: Epipharyngeal Abrasive Therapy)により行います。
当院では1%塩化亜鉛溶液を使用しております。
炎症が強いと粘膜下の充血を伴うため、処置により出血が見られます。この出血の程度により炎症の強さが判断できます。
症例によって、鼻咽頭ファイバー下で上咽頭を確認しながら、鼻から塩化亜鉛溶液を浸した彎曲綿棒で上咽頭を処置する場合があります。
処置前の麻酔に関しては、通常はキシロカインスプレーを鼻内へ噴霧のみですが、追加でキシロカインを浸した綿棒を両鼻に留置してから処置を行う場合があります。
塩化亜鉛処置に伴う問題として、主に痛みと出血があります。痛みに関して、痛み止めは効果が少なく、初回は軽めに処置を行い、通常は処置した日に軽減することが多く、処置を重ねるごとに軽減していきます。
出血は止血の処置を必要とするケースは少なく、炎症が軽減すれば、減少します。
他に耳に刺激がきたり、鼻汁が一時的に増えたり、発熱など一時的に上咽頭炎症状が出る場合があります。
EATにより、上咽頭炎の炎症を軽減しているため、治療には時間を要します。
また風邪をひくだけで再燃もあり、口呼吸など悪化要因をできるだけ減らす必要があります。
週1回程度処置を続け、3、4回行い、症状軽減が見られれば、通院を継続していただきます。
綿棒への出血の付着がなくなった時点で、残存している症状により、鼻咽腔ファイバースコープによる上咽頭所見の評価を行ったり、通院間隔をあけて処置の継続を行ったりしています。